第16回川の道フットレース完走記
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2021年4月30日-5月5日
  千代田走友会 大竹 祐人 ゼッケン201

第15回川の道フットレースの途中リタイア(230km地点)から2年、コロナ過で昨年の開催が延期になりましたが、様々な感染対策が施され第16回大会が実施されました。大谷さんや森岡さんに憧れ参加した川の道も通算7回目(ハーフを含む)になりました。
備忘録として完走記をしたためさせていただきましたので、お時間のある方は読んでみてください。

前日の説明会 笹目橋に大谷さんと森岡さんが応援 初めに会った最後尾、芹沢さん

<スタートから両神荘まで>
蓮馨寺のおびんづるさん 秩父でライバルに追いつく
東京都に緊急事態宣言が発令されたので、急遽スタート地点が東京都の新木場駅から埼玉県の本川越駅に変更になりました。スタート地点では、密を避けるために応援や応援ランが禁止され、集合写真もなし。スタート方法はグループを6つに分けランナーを個別スタートするスタイルに変更になり、一人ずつ計測を行い日本海に向けて走り出します。
スタート日は仕事で最後尾スタートになりましたが、第一レストポイントまで142kmを約26時間程度。今の私の走力なら問題ないと捉え。本川越駅から一人ひっそりと走り出しました。新しいコースは、いったん荒川沿いに南下して笹目橋で折り返して本来のコースに合流するコースへ。一人さみしい時間帯でしたが、笹目橋に大谷さんと森岡さんが応援に来ていただき元気をいただく。しかし、川の道は簡単ではない。笹目橋からの折り返しで強烈な向かい風が私の体力を奪っていった。それでも慣れた道!ひたすら最後尾のランナーを目指して進む。疲れが出そうな頃にタイミングよく千代田走友会のきむにい(木村さん)の応援メッセージが届いた!ありがたい!きむにいの応援メッセージは毎日届き、折れそうな心を支えてくれました。
1回目の朝日が昇る。秩父手前で最後尾に追い抜いた頃に再び大谷さんと森岡さんの応援をいただくことが出来た。疲れた身体と心が超回復し、レストポイントの両神荘に到着した(142.9km 5/1 13:00)。


<両神荘から小諸まで>
両神荘 ライバルの松田和也さん
両神荘では、仮眠をとり食事や風呂や出発準備などで約4時間滞在し17時に出発。志賀坂峠に向かう途中で雨が降り出し豪雨へ。雨対策や装備は万全なのですが、雨が降ると脚のケアやライトの電池交換など不憫なことばかり、我慢のランが続く。3年前はクマが出た志賀坂峠。漆黒の闇が緊張感を加速させた。雨は止んだものの標高が高いため気温が急激に低下。体力と気力が削られていく中、待ちに待ったサポートカーが到着しゴールまで支えてくれた。
川の駅の先で右折し下仁田に向かうと、ぶどう峠通行止めのため今回変更になったコースに続く。3.3kmの長い湯の沢トンネルを越え旧道の激下りを越えると下仁田から佐久までR254をひたすら進む。整備された国道で最高標高900mくらいなのだが、予想していたよりアップダウンがきつかった。下仁田に入り2回目の朝日が昇ってきた時、ウルトラランナーの友達であり、ライバルの松田和也さんから電話が入る。「ゆうと助けてくれ!足が死んだ!サポートカーの迎えをお願いしたい」、仲間の救済依頼を全力で断った(笑)が、全力で救済依頼されたのでやむを得ず了承した。その後、救済されたボロボロの彼と再会し、彼のゼッケンを預り日本海へと届けることになった。責任は重い。
3回目の大谷さんと森岡さんの応援
彼の想いと共に走り始めたが、疲労の蓄積がひどく足が重い。下仁田から先の内山峠までのアップダウンがこれまた厳しい道のり、途中シカの声が聞こえたと思ったら、群れがドドドドッと走ってビックリしたり、シカの死骸が転がっていたり、タヌキがうろうろしたり、普段車しか通らない場所だけに動物たちもビックリしていたような・・・。おかげで眠気だけは覚めたが、やはり内山峠のアップダウンがキツイ!!キツイ上りで走れずにいたところ何と3回目の大谷さんと森岡さんの応援をいただく!こんな群馬山奥の峠まで!!感謝と感激で疲れた心が癒される。飲み物や食べ物をいただいたおかげで、その後の長く続くメルヘン街道の暴風に立ち向かうことが出来た。しかしこの街道は、一筋縄ではいかない、長いこと長いこと、進めど進めど終わりが見えない。体力が限界に近づいた頃、ようやく小諸グランドキャッスルホテルに到着した(251.7km 5/2 16:20)。


<小諸から旧三箇小まで>
 
  3回目の 上田駅
ここは、レストポイントではあるがホテルなので運営によるご飯の提供が無い!事前に購入した牛丼をいただく。ロビーで食べているとそこにリタイアした松田和也さんがいた。すごく悔しがっていた。道中の話を聞き、彼の想いの分頑張ろうと決意した。
その後、お風呂に入ったが感染対策の為かお風呂にドライヤーが無い!!困った!仕方なく扇風機の前で髪を乾かす。その後、疲労の蓄積がひどく溜まっていたため、長めの睡眠をとる。ここでの滞在は6時間半。23時に起き準備をして次のレストポイントに向かってスタートした。
上田まで下り基調で順調に進むが寒い!動いていると暖かいが、止まると一瞬で凍える。ホッカイロを使い持っている物すべてを着重ねて寒さをしのいだ。この時間帯は、みんなどこに行ったんだ?と思うくらいランナーの姿が見えない。誰かと話すこともできず黙々と走り続けた。後から分かったがこの時の気温が0度だったらしい。寒いわけだ!眠気がピークを過ぎたころ3回目の朝日が昇った。

川平さんと 善光寺
長野駅近くの「すき家」でうな丼を食べ、いざ善光寺へ!そこには、川平さんの姿があった。嬉しい!4年前も応援に駆けつけてくれた川平さん!おにぎりとチョコレートをいただき!疲労が吹き飛んだ。その後、旦那様も一緒に応援していただいた。元気が出ました!ありがとうございました。
その後、気力が回復したが、どうやら足の爪が痛い。靴を脱いでみると足がビックリするくらい浮腫んでいた。これが噂の象脚か・・・。足を置くたびに激痛が走る。過去のランナーは、ハサミで小指あたりを切り、穴をあけ走ったという事を思い出した。しかし、僕のホカはまだ新しい靴(泣)穴をあけるわけにはいかない・・・。しかし、足が痛い。どうしよう・・・。悩みながら歩を進めていると偶然にも靴屋さんを発見。すぐに入店し店員さんに靴を案内してもらった。事情を説明すると驚かれましたが、今の象脚にぴったりのスニーカーを案内してもらう。27cmから29cmにサイズアップしたもののジャストフィット!慣れない靴だが全然痛くない。気分が高揚し長いアップルロードを進んだ。
浅野〜替佐の先の旧道を越えて飯山駅。ここまで進んだが空がまだ明るい!今までよりペースが格段に速くなっていた。飯山のバイパスを通るとき一面の菜の花畑に目を奪われた。さらに雪の残った山々が美しい。速く進むと今まで暗くて見えなかった景色に出会えたが、ここからは難所の津南までの道のり、寝不足と疲労と寒さがいっぺんに襲ってくる。街灯が少ないというかほぼない。暗い眠い足が痛いでフラフラになりながら進んだ。途中の長いトンネルを超え、意識が朦朧としたころ、後ろから軽快な足音が聞こえた。なんだ?なんだ?後半250kmのトップランナーが走り去っていった。しかもキロ5分で!女性の仲田選手だ!すでに110kmを超えた地点であったが、ものすごいスピードで見えなくなった。同じ人間とは思えない。
その後彼女は、驚異的な記録で優勝していた。私も負けてられない。フラフラになりながらも栄村、津南町を越えて、レストポイントの旧三箇小へ到着した(384.1km 5/4 3:20)。

バイパスの菜の花畑 高健さんに追いつかれた レストポイントの旧三箇小

<旧三箇小からゴールまで>
レストポイントでは、顔なじみのスタッフが明るく元気に対応してくれる!感染対策で食事中は黙食なのだが、笑顔で癒される。食後シャワーを浴び、やっぱりドライヤーが無いので温風のストーブで髪の毛を乾かした。疲労がたまっていたが、暗い時間帯より明るい時間帯の方が確実に眠気が無い。ついて間もなかったが2時間の休憩で少しだけ仮眠をとり、朝日と共にゴールへ向けて出発した。
十日町の商店街では昭和レトロの雰囲気で和む。久しぶりの景色を楽しみながら、大谷さんと走った思い出が蘇る。大谷さんが教えてくれた草木の名前。踊子草などなど大谷さんの偉大さを感じ走り続けた。
小千谷手前でウルトラ仲間の志保さんと並走し、和田邸エイドまでご一緒した。いつもはCPである和田邸エイドもコロナ過で使えなくなり、寂しい思いが込み上げる。ご自宅前で写真を撮っていると和田さんが出てきてくれた。「今年は申し訳ない。コロナが終息したらまたCPをするから、よろしくね」と言ってくれた。ありがたい。コロナの終息を改めて強く願った。
魚沼橋 仙台の志保ちゃん ゴールは近い!
その後、ウルトラ仲間の蔦谷さんの応援をいただき、長岡までのロードをひたすら進んだ。無心で走っていると珍しくコースロスト。構橋で斜め左に進んだあと千手一丁目先で斜め右に行くところを道なりに進んでしまった。慌ててコースに復帰し三条大橋を越える。残りフルマラソン1本を切った。ここで恒例の渡辺健介に激励のメールを送る。彼も中山道の旅の途中だ。お互いの健闘を誓い合い前に進んだ。
 ここからは、最後の踏ん張りどころ。長い長い真っすぐの道を進む。日が暮れ、気温が下がりひたすら進む。初完走の時は、走れなくなり、ひたすら歩いたが、今は走れる。走れ走れ!歩くより走る方が、足裏が楽。眠気と闘いながらひたすら進んだ。白根バイパスを越え、大野大橋を越え、最後の朝日が昇った。
結構なペースで走っているつもりだが、ジョギングしているランナーにどんどん離される。疲労はピークを越えて、もはや気力で動いていた。信濃川の土手をあがるとあと少し。最後の力を振り絞り、川の道岬に到着した。やったーついた!!!やはりここの到着は心底嬉しい。涙が込み上げてくる。曇り空ではあったが日本海が美しく輝いていた。そこでは、顔なじみのスタッフに写真を撮っていただき。本当のゴールへ向かう。今回のゴールは、岬から3km先の海の家 静浜亭だ!!
砂浜の手前のゴールモニュメントが真のゴール。記念撮影をし、多くのスタッフから拍手をいただいた。(503.0km 5/5 10:32)。
 日本海まで来ました(川の道岬)      ゴールしました! (^_^w

120時間32分31秒 総合順位27位/94人中。
自己ベストを7時間も更新できました。身体が動くなら10回の完走を目指し、11回目はゴールドゼッケンで日本海に辿り着きたい。 最後に!コロナ禍の中で開催してくださった主催者の皆さん、スタッフの皆さん、一緒に走ってくださったランナーの皆さん、応援してくださった皆さん、説明会やゴール会場を提供してくださった皆さん他、大会に携わった皆さんに感謝します。

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