宮古島トライアスロン参戦記
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2013/5/14
  徳山 一 2013.4.21

宮古島に行ってきました
JAL沖縄キャンペンギャルの斉藤慶子の水着にクラッとしてから30余年、沖縄には一度は行ってみたいと思っていたが機会と金が無く、今まで行ったことはなかったのですが沖縄本島を飛び越え宮古島まで行ってしまいました。

今回参加したのは「全日本トライアスロン宮古島大会」。
スイム3キロ、バイク155キロ、ラン42キロ。制限時間13時間30分。
昨年12月下旬に当選してから苦手のバイクを中心にできるだけのトレーニングを積んできたがどこまで通用するか。
目標はスイム1時間10分、バイク(自転車)トランジット含めて6時間20分、ラン6時間。合計13時間30分。制限時間一杯で完走する事。
初めてのロングディスタンスです。

○4月19日(金曜日)
さて、古河マラソンから4週間。体と心の痛手から何とか癒された僕は、羽田から日航機に載り那覇経由で宮古空港に午後5時に到着。
雨が降った後のためかとても蒸し暑く、こちらの人はみんな半袖。
早速タクシーで選手受付・開会式会場の宮古島総合体育館に行く。受付を済まし18時40分時からの競技説明会と19時からの「ワイドー(頑張れ)パーティ」に参加する。
ざっと見ても年配者が目立つ。40才台が多いか。料理、ビールはすごい勢いでなくなる。
朝プールのクラブのメンバーがたくさんいるので心強い。

パーティを中座して21時頃ペンションと言う名の民宿に着く。荷物を片づけていると相部屋の人が帰って来た。宮古島は10数回参加のベテランで色々教えてもらう。
酔いも回っているので11時頃就寝。

○4月20日(土曜日)
6時ごろ起床。朝食を済まし、宅送してあった自転車を組み立て、補給食のパワージェルをバイクに貼りつける。トップチューブのBENTO BOXには明日のパワーバーを3本分積みこむ。天気は薄曇り、風は殆どない。
今日は10キロくらい離れているスイム会場の宮古島東急リゾートまでバイクを預託しに行く。
預託開始は13時だけど落ち着かないのでバイクのセッティングと試走を兼ねて10時頃、早めにバイクに乗り出かける。
途中、コースの来間大橋を渡り来間島に行く。海は信じられない位きれい。明日はこんな海を泳げるかと思うととても楽しみ。
13時半ごろ東急リゾートに到着し、バイクの預託を済ましてからスイム〜バイクのトランジットエリアの確認をする。
佐渡トライアスロンでは全く見なかった外国人が多い。参加者名簿を見るとアメリカ、オーストラリア、韓国、台湾たくさんいる。結局今年の優勝者は男子はウクライナ、女子はドイツ人だった。

そしてホテル前のスイムスタート地点に行くと試泳している人がいる。
朝プールクラブのMさんとばったり会った。Mさんも試泳していたが僕は泳ぐ支度をしていなかったが、みんなとても気持ち良さそうに泳いでいたので、バイクパンツのままゴーグル無しで20分ほど泳いだ。今思えばこれが悪夢の始まりだった。
Mさんと15時のシャトルバスで市街地に戻る。分かれる時はお互いに「明日は頑張りましょう!」

民宿に戻り明日の準備をする。トライアスロンは道具、機材が多くて大変だ。
明日の起床は3時半なので20時半ごろ就寝。明日はどうなる事やら。

南国情緒あふれる宮古空港
来間大橋。素晴らしく海がきれい
バイクにパワージェルを貼り付け
第1ラン前。スイム中止でがっくり
○4月21日(日曜日)
3時半に起床。朝食を摂りに食堂に行くため、外に出たら風が結構出ている。
相部屋のベテランが「おかしい。今までこんなに寒くて、風が強かった事は無い。」(エッ!)と言う。まさか昨日はあんなに穏やかな天気だったのに。
食事を済ませ用具を詰めたトランジット袋3つを持ち、いざ出撃。
シャトルバスを待っていると一緒に並んでいる人がスマホを見て言う。
「波が高いためスイム中止の決定を6時半にすると事務局から発表があった。」(エエッ!)
(これは冗談じゃないぞ)

4時40分シャトルバスに乗り込み30分ほどでスイムスタート会場の東急リゾートに到着するがまだ辺りはまだ真っ暗。風はますます強くなり木が撓っている。
取り敢えずバイクにボトル2本を装着、BENTO BOXにパワーバーを積み込む。
勝手が分からずウロウロ、オロオロしているうちに時間が過ぎる。

どんなレースでも大きい用足しを早く済ますのは大切な事だがスイム会場に到着しても実はまだ済ましてなかった。トイレは大行列だが何とか済まして選手受付に行くと受付は既に終わって片付けに入っている。(エエエッ!)
慌てて受付をお願いしてナンバリングをして貰う。
「今までどこにいたんですか?」
「トイレに並んでいました」
「………。」

選手はゾロゾロとスイム会場に移動している。慌ててウエットスーツを着ていると。
側にいた人が「スイム中止。デュアスロンになった」(エエエエッ!)
と話している。「本当ですか!」思わず聞き返いているとその時。
「スイム中止。デュアスロンの第1ランスタートはスイムより1時間遅らせて8時から開始。」との放送があった。

これはえらい事になった。スイム、バイク、ランのトライアスロンが第1ラン6.5キロ、バイク155キロ、第2ラン42.2キロのデュアスロンになってしまった。
一番調子が良くきれいな海で泳ぐのが楽しみなスイムが中止になった。もうがっくり。

こんなことなら昨日2時間でも3時間でも泳いでいればよかった。
仕事は先に延ばしても楽しみは先に延ばしてはいけないと今更ながら思う。
もっとも1週間前の石垣島トライアスロンのスイムで亡くなっている方がいる。
同じ県内で2週間連続事故があったらそりゃまずいでしょ。

今年29回目の大会でスイム中止は初めてとの事。大会役員も勝手分からず大混乱。
スイムスタートとランスタートが違う場所のためランシューズを1足しか持ってこなかった人は、シューズを入れたトランジット袋を積み込んだトラックの前で大パニック。
僕は大会案内の通りランシューズを2足持ってきたのでここはセーフでした。

モチベーションがイマイチ上がらないまま第1ランスタート整列をしていた時、ふと見るとシューズが見つからなかったのか、サンダル履きや靴下のままの人もいる。これで6.5キロロは人ごとながら大変だ。
第1ランスタート時間が近付くと何やら聞こえる。
「君が代」だ!選手として国歌斉唱を聞くのは生まれて初めてだ。これからもないだろう。

○第1ラン(6.5キロ)
8時。東急リゾート前のバイクスタート地点から第1ランスタート。
当然、距離掲示が無いのでよく分からないが1キロ5分半位のペースで畑の中を淡々と進む。まだまだ先は長い。少々飛ばしても2,3分しか違わないので間を縫って走る人もいない。
ところで制限時間変更のアナウンスは今まで無かったと気がついた。そのとき朝プールのクラブのTさんがいたので追い付いてゴール時間について聞いてみた。
すると20時半で変更はないとの事。

ヤバい事になった。スタート時間が1時間遅れてゴール時間が変わらないという事は13時間半の大会が12時間半になる事。
第1ランを40分とすると第2ランは5時間半で走らなければならない。

そのうち東急リゾートに帰ってくるがデュアスロンのコースは大会パンフレットに載って無いためさっぱりわからない。ただ前の人に付いて走るだけ。
第1ランのゴールもわからないためタイムも取れない。
バイクトランジット袋を取りシューズを履き替えバイクラックへ行く。ヘルメットをかぶりバイクスタートラインへバイクを引いて走る。

バイク・東平安名崎灯台付近
第2ラン折り返し
ゴール。かなりやつれています
○バイク(155キロ)
さて苦手のバイクだ。時計を見ると約44分経過。
バイクコースは
Aスタート地点から北上しB池間大橋までA―B間30キロ。
Bから南東へ走りC東平安名崎灯台までB―C間40キロ。
C灯台から西に向かいAスタート地点までC―A間30キロ。
1周約100キロのコースを時計回りに1周半する。北風のためまともな迎え風を2回体験する事になる。
スタートするとすぐに迎え風を感じる
スイムだとトップ最後尾は1時間くらい差がつくが6.5キロのランだと25分位しか差がつかないのでバイクがバラけないで団子状態になってしまう。
3キロぐらいでTさんが追い付いてくる。サーベロP3のTTバイクだ。かっこいいぞ!
しばらく並走する。上りは僕の方が速いが、平地はやはりTさんの方が速い。そのうち置いていかれて見えなくなる。
僕のバイクにはDHバーも付いているが横風も強くバイクが振れるのでほとんどブラケットか下ハンにしがみついてる感じ。
しばらく行った所で仰向けに倒れてピクリとも動かない人がいて救急車が来ている。
危ない。危ない。廻りのバイクにも注意しなければ。

さて宮古島を北上しA地点池間大橋まで来た。のぼり旗がバタバタとすごい勢いで揺れる。
池間大橋を渡り池間島を1周して帰ってくる。
この橋がとんでもない風だ。迎え風の上、横風まで吹いてくる。ハンドルにしがみついてよろよろ進む。

池間島を1周すると今度は待ちに待った追い風だ。池間大橋を戻りペダルを踏むとガンガン進む。
TTバイクもエアロヘルメットもどんどん抜いていく。(最後はみんな抜き返されました。)
逆境に弱く調子に乗り易いのは僕の性格そのままだ。
バイクエイドは20数キロごとにあるがパスしていく。そんなに暑さを感じないのでバイクに積んである2本のボトルでいける所まで行く。
正直な所、横風突風のためエイドで除走してボトルを貰うのが怖い。

Bの東平安名崎灯台を廻る。この辺りは景色もいいのだろうがそんな余裕もありゃしない。
西に向かうこのコースは結構坂があるが何とかクリア―する。

昨日試走した来間大橋を往復するしてようやくスタート地点に戻る。ここで約100キロ。残り半周だが又迎え風と戦わなければ。
ここまで一度も止まっていない。今のところ平均時速は約26キロで予定はクリアしているがこれから落ちてくるはず。
ますます風は感じる。
約110キロ地点でトイレのため停車。足がよろめいてまっすぐ立てない。
(この調子で42キロも走れるのか……。)不安がよぎる。
とにかくまた走り始める。

次のバイクエイドでボトルを2本貰う。走りながらうまくキャッチできた。
2度目の池間大橋まで来た。相変わらず風は強く時速18,9キロくらいしか出ない。これでロードバイクか。情けないぞ。
池間島を1周して今度も追い風だが足は相当バテバテでスピードを上げられる訳もない。タイム計測していた人が「1100番くらいです。」と教えてくれる。第1ランは800番位だと思うのでここまで300人位抜かれた勘定だが抜かれても抜き返す根性も出ない。距離が減っていくのを励みにするだけ。

そのうちゴールの陸上競技場が見えてきた。そしてやっと155キロのバイクフィニッシュ。
ところがこれで終わりじゃないのがトライアスロン。
ボランティアの中学生の案内でバイクラックまで走る。周りのバイクラックは殆どバイクが掛っている。
僕のバイクラックにはトランジット袋が置いてある。バイクシューズを履き換えキャップをかぶり、ボランティアの中学生に袋をお願いしてランスタートのゲートに走る。

■第1ラン+バイク 6時間57分31秒 1094位/1293人(バイク完走人数)
 バイク実走153.1キロ 6時間9分55秒 平均時速24.8キロ

○第2ランスタート(42.2キロ)
いよいよフルマラソンだ。ランコースは21キロ行って折りかえすコース
1キロ7分で走れば4時間50分位。エイドの時間、後半歩く時間を見て6時間の予定だ。
1キロ7分なら得意だ。フルマラソンの最後7キロはいつも1キロ7分だ

。走り出しはいつもと同じで太腿が重たい。どんどん抜かれるがどうにもならない。
とにかくどんなに遅くても折り返しまでは、歩かないつもりで走る。
3キロで計時するとそれでも1キロ7分位で走っているので一安心。
そのうち太腿の腫れが取れ足も軽くなり1キロ6分20秒位まで上がってきた。
ランコースは行きが追い風で気温も低く暑さを感じない。どんどんスピードが速くなり前の人を抜けるようになってきた。

そのうち何か違和感が。
(そうだ!メガネを忘れた…。)
そうです。バイクは度付きサングラスだったけどランゴールは20時過ぎで真っ暗になるのでランスタート時にメガネを用意していたがメガネを掛け替えるのを忘れた。
宮古島は街灯が少なく、夜道が暗い。夜のサングラスだとなおさら暗い。ど近眼の僕は度付きサングラスを外す事も出来ない…。
仕方ないそのまま行く事にする。

約2.5キロごとにエイドがあるが水と、おにぎりを半分だけを食べてほとんど足を止めないでないで進む。
脚はますます快調。1キロ6分半位でどんどん抜いていく。
21キロの折り返しでは9時間16分。残りハーフで3時間以上タイムが残っている。
これなら事故が無い限り完走できる。おお!力が湧いて来たぞ!
後は距離掲示とエイドだけが楽しみだ。

エイドでは相変わらずおにぎりを一口ずつ食べる。食欲はあるぞ。森岡さんお薦めの「ガスター・テン」の威力か。そのうちさすがに腹が一杯になったのでバナナを戴く。
しかし折り返してからは向い風と疲れのため30キロ過ぎからは7分台に落ちていく。

ここまで歩かないで来た。こうなったら最後まで歩かないで行こうと決める。
だんだん日が暮れる。日本最西端の宮古島でも19時半を過ぎると暗くなってくる。
間抜けなサングラスの僕はなおさら暗い。そのうち楽しみな距離掲示も手元の時計も見えなくなる。
だんだん市街地に入ってきた。
居酒屋の明りだけが眼に入ってくる。「ビール飲みたい。焼き鳥食いたい。」
もうそろそろゴールと思ってもどこをどの位走っているかも分からない。

そのうちいきなり明るくなってきた。そうです。ゴール地点の宮古島市陸上競技場だ。
サングラスを外してトラックを4分の3周する。前の人がバテバテで遅いのであまり野暮な事はしたくなかったが最後に一人抜いた。
そしてゴール。

その時は特に感動は無かった。(もう走らなくてもいいや。)と思うだけ。100キロ完走した時と同じでした。

■第2ラン 4時間54分15秒 649位/1184人(完走人数)

○ゴールして
ゴールして完走メダルを掛けてもらいトランジョット袋を貰って芝生に座りこんでいると朝スイムのクラブのMさんとばったり会った。僕の5分ぐらい前にゴールしたとの事。
お互いの健闘を讃え合っているとリミット時間の20時半が迫ってくる。
ぞくぞくと選手がゴールして行く。そのうち人だかりが。そうです。デンジャラス・ノッチがゴール。よく見えなかったが確か奥さんやカメラマンもいたような。
20時半を過ぎると派手な花火が打ち上げられる。
ああ!ゴールして花火が見られて本当によかった。
「Mさん。屋台でビール飲みましょう。」

○終わりに
結局、総合記録は11時間51分46秒  850位/1184人。(出場1450人)
バイクで約350人位抜かれて第2ランで244人抜き返したところか。

完走率は80%。例年は90%位で今年は最も悪いそうな。特に女子の完走率は70%と結構タフな大会だった。

今回の大会は全て天候に振り回された感じです。
スイム中止もそうだが強風のバイクも大変だった。翌日の記録を見たら12時で気温18.6度。北北東の風7.3メートルだった。
僕のヘタレバイクでは普段は風速5メートル超えたら走りません。
又、ランが案外よかったのは気温が18度と涼しかったせいか。最も条件はみんな同じだけど。
やはりトライアスロンは面白い。一度で三つ美味しい三色パンみたいなものか。
この大会も素晴らしかった。1500人の参加者のために人口55000人のうちボランティア
が5000人だから島民にとってもお祭りみたいなものだと思う。応援もとても熱かった。

50歳を過ぎて始めたトライアスロンだけど運動が苦手な高校時代を考えれば正直よくやったなと思う。これが達成感でしょう。
これも千代田走友会の皆さんから刺激を受けたおかげだと思います。
こうなると宮古島は一度泳がないと気が済まない。来年も是非参加して「デュアスロン」ではなく「トライアスロン」をしたいと思う今日この頃でした。

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